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【セミナーレポ】LTVを最大化する取組事例と定期継続率の考え方

先日「みんなのCRM」第7回のセミナーを開催いたしました。弊社からCRMチームマネージャーの江森、ゲストスピーカーとして株式会社Ace Agaentの南浦様にご登壇いただきました。

〈みんなのCRM(セミナーの趣旨)〉
みんなのCRMは、EC・D2Cブランドを運営するCRM担当者の情報共有の場として、毎月第2水曜日の13:00〜14:00に開催する勉強会です。

【ゲストスピーカー】株式会社Ace Agentマーケティングソリューション部 部長南浦 昌也様

Ace Agent様会社概要

奈良県No.1の運用実績を誇るウェブマーケティング会社。
マーケティングや広告運用といった分野だけではなく、ウェブデザインや映像制作などのクリエイターチームが在籍しているため、施策の立案から実装までをワンストップで対応できることが強み。
また、女性向け美容化粧品ブランド「utuKcia(ウツクシア)」を立ち上げ、自社で商品の企画も行う。
開発した商品はインターネットを中心に販売し、ここ数年で売上を大きく伸ばしている。

ウツクシアについて

ウツクシアのコンセプトは【「美しさ」と「幸せ」をはぐくむ】。美と幸をテーマにしたスキンケアブランド「ウツクシア」は、自分のことは後回しで誰かのために頑張る人を応援したい。
「美しくなりたい」「幸せでありたい」と願う人の想いは同じ。だからこそ、自分のことも大切にしてほしい。その想いをカタチにしてお届けします。
幸せをコンセプトにしたオールインワンジェル。大切な日のためにこそ使いたい炭酸パック。忙しい日々でも簡単ケアができる美容洗顔シートなど、美と幸にこだわった商品を創っています。

【モデレーター】株式会社ライフェックスCRM Division Manager江森 清文

「定期継続率アップ」の3つの基本のキ

CRMの施策をおこなう中で、定期継続率アップは1番の目的であり、まさに基本です。継続率がなければロイヤル化することも、広告のための費用を出すのも難しくなります。まずは3つの基本をおさえる必要があります。

基本のキ①お客様を不安にさせない

基本のキの1つ目は「お客様を不安にさせない」です。実店舗で買い物するときに比べて、ECで不安になる要素は次の3つがあるといわれています。

【ECで不安になる要素「3つの無い」】
●店員の姿が見え無い・・・お客様からはリアルな店員の姿が見えず不安
●商品に触れ無い・・・商品のテクスチャー・匂い・感触がわからず不安
●他のお客様が見え無い・・・ 他のお客様の生の声やコメントが見えず不安


3つの不安要素を取り除く方法
この不安要素を解消するには、「無い」を「有る」にしていくことが重要です。

●店員の姿を見せる・・・(例)挨拶状・ ショップ店員の写真など
姿や形だけでなく、ブランドコンセプトをしっかり伝えることや、商品の担当者がどのような人物か想像できるような物があると、最初の「店員の姿が見えない」という不安を解消できるはずです。

●商品の説明をする・・・(例)メール・ブランドブックなど
改めてこの商品が何のために使えるもので、いつどの量を適切に使うべきなのかを丁寧に説明する必要があります。メールや同梱物でしっかり使い方をガイドし、ブランドブックなどがあると初回でファン化の第一歩が進みます。

●利用者の声を見せる・・・(例)利用者の声・VOCなど
商品を買い続けると得られる未来の姿が想像できるようなコメント、買ったことを後悔させない利用者の声などが効果的です。いつでも解約ができる、サポートセンターが充実している、なども不安を払拭する1つのツールになります。

基本のキ②商品を「気に入ってもらう」

メールに限らずLINE・SNSなど、いろいろな角度から商品を好きになってもらうアクションをしていくことが大事です。CRMを次のように恋愛に例えてエンゲージメントを高めていく、ということをよくお話しています。

  1. 出会い:商品初購入

  2. 顧客情報の活用:連絡先交換

  3. アプローチ:好みに合わせた情報発信

  4. デート:顧客コミュニケーション・顧客をよく知るためのリサーチ

  5. 仲を深める:ブランドのファンへ

商品を気に入ってもらうのは、商品だけを知ってもらうのではなく、その周りが非常に大事である点が、今のCRMの根本です。ツールやSNSなどに細かく注力をすることによって、お客様に好きになってもらう土壌を作っていくことが大事です。

基本のキ③ブランドのことを「誰かに紹介したくなる」

「ブランドと商品を誰かに紹介したい」という気持ちになってもらうには、商品を購入する前から感情を動かす必要があります。従来はAIDMA(アイドマ)モデルが重視されていましたが、現在ではSNSの利用からの認知を活用したファンマーケティング的な発想が大事になってきています。
現代において提唱されているのは、AMTUL(アムツール)です。

A(Awareness)・・・注意を引く
M( Memory)・・・記憶する
T(Trial)・・・試してみる
U(Usage)・・・初回購入
L(Loyalty)・・・継続購入

トライヤルで商品を試したり、注意を引く・記憶するの中にSNSを活用したりするなど、ファンマーケティング的な要素が含まれています。
展示会・広告・オウンドメディア・自社サイトなど幅広いところで注意を引くことができ、商品・サービスを記憶していただいたあとに、試していただく、という3段構えが、初回・F2の継続率に大きく作用していくといわれています。

取り組み事例:デジタルな時代だからこそ、アナログの取り組みでファン化する

ここからは、株式会社Ace Agentの南浦様から解説いただきました。
「美と幸をテーマにしたスキンケアブランド〈ウツクシア〉」で取り組んだ、定期継続率UPの事例を交えてご紹介しています。

スタンプラリー・ビンゴの取り組み事例

「ウツクシア」では、商品を買っていただいたお客様の同梱物として、スタンプラリーとビンゴを封入しています。

スタンプラリーは、ハガキに付いているスタンプを切り取って貼っていただき、5枚・10枚・15枚と好きな数を貯めていただくと、対象の商品と交換できるものです。

ビンゴカードは毎週発表される数字に対して、該当の数字があれば丸をつけてもらって、ビンゴが揃えば特典に応募ができるものになっています。

ECだとやはり店舗とお客様との間に「人感」というのがなかなか見えません。デジタルでいくらでも完結できる時代だからこそのあえてアナログ、紙媒体こだわった取り組みです。もちろんアナログの方が費用もかかり、お客様からしても応募に手間がかかりますが、親しみやすさをアピールできると考えています。

例えばスタンプラリーで、月に1回の定期購入で15枚まで貯めるには1年かかります。しかしありがたいことに、15枚まで貯めて応募してくれるお客様が全体の半数以上です。スタッフとしても会社に届くハガキを見るごとに、しっかり継続して購入いただいているんだと、嬉しい気持ちになります。お客様にとってもスタッフにとっても、よい取り組みができていると思っています。

さらに顧客の心理的には「苦労を無駄にしたくない(せっかく貯めたスタンプを無駄にしたくない)」というコンコルド効果が働きます。アナログで手間がかかるからこそ、継続率アップにも繋がっているのではないかと思います。

「継続率」という観点からの数字との向き合い方

さまざまな数字がある中で「継続率」の数字は、以下のような指標が表れる特に大事にしたい数字です。

・顧客の満足度が反映される指標
・気に入っていただけるかを測れる指標
・企業の状態を測れる指標

ほどんどの数字は企業目線の数字

自社の商品を販売するにあたって、いろいろな数字をKPIとして追いかけますが、継続率はとりわけ顧客の満足度が反映される数字です。他にもアクセス数・成約率・広告費などがありますが、これらは企業目線で出された数字でしかないと認識しています。

企業目線の数字ばかり目指していては、一番大事なお客様との関係性や満足度、自社の製品・サービスがどれだけ社会に貢献できているのか、という点はこれらの数字ではなかなか図れません。継続率が上がれば自社の売上にも繋がり、顧客の満足度にも反映されるので、継続率は他の数字よりも大事に向き合うべきと考えています。

数字は客観的だが、どの数字を見るかを決める過程は限りなく主観

数字は客観的なデータですが「いろいろな数字の中でどの数字を見るか」を決める行為、これは担当者の主観です。「この数字を見る」と決めた瞬間、大体において目標になり、その目標に向けて行動する、という流れで決まっていきます。それが客観的ではなくて、あくまで主観的なものであることは頭に入れておくべきと考えます。

KPI設定のためのアプローチ手法について

KPIとKGIの間に北極星指標を置く

北極星指標は、最近多くの企業で取り入れられている指標です。
継続率は企業の利益にもつながり、かつお客様の満足度にもつながると提案しました。まさにそういった数字を、KPIとKGIの間に置くべきです。

企業であれば販売を続けていくためにも、指標が売上や利益の数字になるのは間違いないと思います。ただしそこの売上・利益だけを見てしまうと、お客様にとって何も関係ない数字、サービスや商品が役に立っているのか、を表す1つの指標にはならず、満足度を表しているかどうか、には繋がりません。

例えばですが「継続回数が2回以上のお客様の数」を北極星指標とします。
2回以上継続して買っていただいた方が増えれば増えるほど、その商品をしっかり満足して購入していただいているのがわかり、当然企業の利益にも繋がります。
つまり直接売上や利益の数字を追わなくても、こういった数字を北極星指標として置けば「お客様の満足度+企業の利益」を両方しっかり追いかけられるようになっているわけです。

有名企業でも次のような数字を、北極星指標として定めているといいます。

【北極星指標の例】
●Facebookの場合・・・登録してから〇〇日間で〇〇人以上の友だち登録をしたユーザーの数
●Slackの場合・・・2,000回以上のメッセージのやり取りをされたグループチャンネルの数

このように企業目線の数字だけでなく「しっかり商品を満足して使ってもらっているか」という点を置いて、目標にしていくことが重要です。

北極星指標を置いたあとのKPI・施策への落とし込み

KPI設定のためのアプローチとして、下記のような4つのカテゴリーに分けられます。

〈KPIを設定するためのカテゴリー4つ〉
・・・アクセス数・母数になるもの
(例:顧客リストの数・ターゲットの数など)
効率・・・本商品をどれだけ買ってもらえるか
(例:メール・DMを送る、キャンペーンの打ち出し)
深さ・・・購入単価・アップセル・クロスセル
(例:セットものや同系列の商品をおすすめする)
頻度・・・購入頻度をあげていく
(例:1ヶ月1個→1週間1個でおすすめする)

この4つのカテゴリーに合わせて、KPIや売り上げに繋がる施策を立てます。全てをかけ算して、最後に出た答えが売上となります。
(幅×効率×深さ×頻度=売上)

かけ算ですので極端な話、他の数字がよくてもどれか1つゼロになってしまうと、最終の数字もゼロになってしまいます。4つのカテゴリーを網羅的に取り組むのがベストです。

まとめ

最後に売上の話になりましたが、全て北極星指標に繋がることを忘れないでいただきたいと思います。売上や利益を度外視しているわけではありません。しかし北極星指標をしっかり定めて、数字を目指せば売り上げにつながっていくと思いますので、会社の利益・お客様の利益について顧みる機会になればと思います。


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