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【セミナーレポ】食品D2Cベンチャー、マッスルデリが仕掛けるCX起点のPR×CRM

先日「みんなのCRM」第15回のセミナーを開催いたしました。

今回のゲストスピーカーとして、株式会社Muscle Deliの執行役員CXO(最高体験責任者)山岡様をお招きし、弊社からは、CRMマネージャーの江森と、SNSプランニングマネージャーの大元が参加。食品ビジネス市場における顧客体験(CX)起点のPR×CRM戦略について、他社とのコラボ事例などを交えてお話しいただきました。

〈みんなのCRM(セミナーの趣旨)〉
みんなのCRMは、EC・D2Cブランドを運営するCRM担当者の情報共有の場として、毎月第2水曜日の13:00〜14:00に開催する勉強会です。

〈ゲストスピーカー〉
株式会社Muscle Deli
執行役員CXO(最高体験責任者) 山岡 大介 様

2006年ソフトバンクグループ入社。アイティメディアに転籍し、広告営業から事業企画、メディア立ち上げまで実施。 2013年に副業でサバゲー会社のASOBIBAを創業 。2018年 本業と副業を入れ替えてアカツキライブエンターテインメントに入社。マーケティング本部長として、横浜駅直通の複合型体験エンターテインメント施設「アソビル」の全フロアのPR・マーケティング・WEBサービスを統括する。 2021年 Muscle Deli CXO(最高体験責任者)に就任。

Muscle Deli(マッスルデリ)概要
「人と地球をカラフルに」というパーパスのもと、ボディメイクやダイエットに取り組む人に最適な栄養素の食事をお届けするボディメイクフードサブスクリプション事業「Muscle Deli」や、一人ひとりの目的や好みに合わせた食事をお届けするカスタムミール事業「YOUR MEAL」を展開している。

▼Muscle Deli(マッスルデリ)
https://muscledeli.jp/
▼YOUR MEAL(ユアミール)
https://yourmeal.jp/

〈ライフェックススピーカー〉
CRM Manager     江森 清文
SNS Marketing Manager 大元 由実子

顧客体験(CX)とは

顧客体験(CX:Customer Experience)とは、顧客が商品を使うときに感じたり、得られたりする体験・経験のことです。よい顧客体験を作るためには、顧客が欲しいものや要求を理解し、それに合った商品や情報を、顧客に合わせたコミュニケーション方法で提供することが大切です。
メール・LINE・SNSなどで顧客との相互の関係値を作っていくことや、商品・サービスを使うときの便利さや快適さ、情報のわかりやすさなども、顧客体験向上の上で重要です。

「顧客体験CX」3つの基本のキ

まずは、顧客体験(CX)向上につながる、3つの基本のキをご紹介します。

基本のキ①:ブランド体験


基本のキ1つ目は、ブランド体験です。商品やサービスを通じて企業の価値観やストーリーを感じることで、CX向上につながります。
ブランドとは、消費者に認識されている企業・商品・サービスそのものであり、ブランディングは、ブランドの理念や考え、想いを消費者に理解してもらう手法のことをいいます。ブランドプロミス(消費者への約束)を果たすことでブランドの価値は高まり、メッセージを送ったり、商品を使ったりといった全ての体験が、ブランド体験として顧客に根付いていきます。

基本のキ②:パーソナライズ

基本のキ2つ目は、パーソナライズです。データ活用でパーソナライズした最適な体験を提供することで、CXを向上させ、ひいては顧客満足度を高められます。
上の資料のように、パーソナライズ製品の満足度は、96.7%強の高い満足度をマークしています。パーソナライズされたオファー提供や顧客とのコミュニケーションを通じ、顧客の要望に素早く対応することが重要です。顧客の好みをアンケートすることで「どのような趣向で、どのような商品を購入したいか」の情報分析ができます。この情報をもとに、コミュニケーション戦略においても、LINE・メール・SNS・同梱物などから顧客に最適なタッチポイントを選べ、CXと満足度の向上につながるのです。

基本のキ③:コミュニケーション

基本のキ3つ目は、コミュニケーションです。メール・チャット・SNS・電話などから、ニーズに応じた適切なコミュニケーション方法を選択することで、コミュニケーションが密になり、CX向上につながります。
ニーズに応じた適切なコミュニケーション方法を選択するためには、まず「顧客のニーズを理解する」ことが大切です。顧客の声に耳を傾け、ニーズを理解することでコミュニケーションが活発になり、顧客との密な関係作りができます。さらに購買履歴や閲覧履歴などのデータを活用して、コミュニケーションをパーソナライズすることで、ニーズに応じた提案ができるようになり、顧客満足度が高まります。顧客ニーズの理解・密な関係作り・パーソナライズを通して、顧客が商品・サービスのファンに育っていきます。すべての顧客体験を通してファン化していくことが重要です。

コラボ企画でファンを増やすには?

ここからは、株式会社Muscle Deli執行役員CXOの山岡様に、顧客体験を中心としたPRとCRM戦略についてお話しいただきました。

単純に広告やメディアから商品を知って購入する場合より、コラボ企画からの方が、よい状態で顧客体験がスタートができます。
CRMは一般的に購入後の顧客関係管理であるという認識があるなか、CRMは購入前からすでに始まっていると考えています。どのような情報(広告・メディア・SNS等)に接触して購入したかによって、商品に対する期待値が違ってくるからです。これによってその後の体験価値も変わってきます。

コラボ企画では、すでに自社のファンを持つメーカーなどとコラボしています。広告やメディアに触れて「よくわからないけど試してみよう」という心理より「このメーカーと組んでいるなら買ってみよう」という心理で購入いただけるため、最初のスタート地点でよい期待値から始められるメリットがあるのです。PESOモデルを活用して、コラボ先を選定しています。

※PESOモデルについては以下を参照

実際のコラボ企画事例を交えて、詳しくご紹介します。

コラボ企画事例①〈CLAS×Muscle Deli〉

最初の事例は、家具と家電のレンタル・サブスクをおこなう「CLAS」さんとのコラボです。「セカンド冷凍庫×ボディメイクフード」のコラボは、もとはマッスルデリユーザーのSNS投稿がきっかけでした。会社の冷凍庫にマッスルデリを入れていたら怒られてしまい、マッスルデリ専用の冷凍庫を自分のデスクに置いているという、X(Twitter)の投稿からアイデアが生まれました。冷凍食品を取り扱うBtoCブランドでは、冷凍庫のシェアの奪い合いが常に発生しています。常温の商品はどこでも置けますが、マッスルデリは家庭内の冷凍庫のシェアをどれだけ割いてもらえるかが課題でした。

そこでこの「セカンド冷凍庫」が課題をすべて解決してくれたのです。「専用冷凍庫を買う」だと、躊躇する方もいるため「まずはレンタルしてみませんか?」というアプローチに変えて、使い勝手がよかったらそのまま使える、という企画アイデアとなりました。

コラボ企画事例②〈範馬刃牙×Muscle Deli〉

2つ目の事例は、人気アニメ「範馬刃牙」とのコラボです。範馬刃牙のテレビ放送が始まるプロモーションのために、コラボ先を探していたタイミングで知り合いを通してコラボが実現しました。
食事シーンも多い範馬刃牙とマッスルデリは相性もよく、コラボプランとして「範馬刃牙プラン」と「ビスケット・オリバプラン」の2つのプランを展開。プランを購入するとノベルティグッズが付いてくることから、アニメのファン層も取り込め、アニメ専門誌やWEBニュースなどに掲載されるコラボ企画となりました。

コラボ企画事例③〈三陸釜石の震災復興×Muscle Deli〉

3つ目の事例は、三陸釜石の震災復興支援策の一環とした、株式会社麻生三陸釜石工場とのコラボ企画です。

マッスルデリの生産・製造・物流は、いろいろな工場の協力のもと作られています。そのうちの1つの工場が三陸にあり、マッスルデリ創業6周年記念のタイミングで、三陸産の牡蠣を使った限定メニューを作ってコラボが実現しました。マッスルデリがどのように作られているか、その裏側を知る機会はなかなか少ないと思います。ユーザーには、ただ食べるだけでなく、顧客体験として、どんな素材を使っているか、どんな思いで作られているのかなどのエピソードを含めて食べて欲しいと考えました。
マッスルデリを食べることで、工場や三陸の地域支援にもつながることを伝え、テレビ岩手より取材がくるなど地域性のあるコラボ企画となりました。

コラボ企画事例④〈シン・仮面ライダー×Muscle Deli〉

4つ目の事例は、映画「シン・仮面ライダー」とのコラボ企画。これは「シン・仮面ライダー」の公式アプリ「SHOCKER」をダウンロードした方限定に販売する「SHOCKERビール」の物流を、マッスルデリがサポートするという企画です。弊社には、契約している冷蔵・冷凍の倉庫がありますが、このような冷凍の倉庫をスポットで使いたいとなった場合は、契約が難しいケースがあります。
そこで弊社で契約している倉庫を、スポット的に間借りできるサービスを開始しました。この企画では「シン・仮面ライダー」の「SHOCKERビール」の物流をマッスルデリが担当しています。

企画を通して伝えたいこと「挑戦する人を応援したい」

これらの企画を通して発信したいメッセージは「挑戦する人を応援したい」ということです。ダイエットやボディメイクも挑戦の1つ。身体を変えて自信をつけたい、仕事のパフォーマンスを上げたいなど、やはり健康な身体であることが重要です。そういうときに「マッスルデリを食べる=挑戦する自分を応援してくれる」というメッセージを感じてもらいたいと思っています。

食から派生するパーソナライズ戦略の仕掛け方

マッスルデリが提供しているものは、ダイエット・ボディメイクの部分ですが、実際は食で解決できる課題はたくさんあります。人それぞれ悩みがある中で、食事が課題解決のひと押しになるように広げていきたいと考えています。生活習慣は、食事が影響している部分が大きいといいます。食によるさまざまな解決策が持てると、その人にとっての課題やニーズが解決できる、パーソナライズ戦略になるのではないかと考えます。

セグメントごとのユーザーインタビューの設計について

ユーザーの課題分析をするために、活用しているのが9セグメントです。上の段が定期購入顧客で、下の段が単品購入顧客、一番左が未認知顧客となっています。それぞれのフェーズで、課題や顧客が思っていることが異なり、矢印が想定される行動を表しています。次の障壁をどう突破して進んでもらえるかを分解して、ユーザーインタビューをしています。

購入を止めてしまった、特に5番の定期購入から離脱したユーザーは、もちろん解約するときにアンケートもしますが、より深掘りできる場合は深掘りして、課題を解決することに重点を置いています。

最近では単品購入ではなく、ほぼ定期購入前提の導線に大きく変更しました。単品購入の選択肢は残したまま「1回でも止められる定期購入」としています。まずは「定期購入から」と売り出すと、新規が減るのではという懸念がありましたが、定期前提のコミュニケーションで振り切ったところ、むしろ継続率が高くなる結果になりました。やってみないとわからないので、今後も試行錯誤しながら続けていきたいと思っています。


山岡さま、貴重なお話をありがとうございました!

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